【大分市耐震リフォーム】地震対策の補強工事と費用相場

2025年10月30日

【結論】

大分市の耐震リフォーム費用は、木造戸建（在来工法・延床25〜35坪）で「部分補強（壁・金物・基礎の弱点補強）」が40万〜120万円、「標準的な耐震改修（評点0.7→1.0程度）」が120万〜280万円、「包括改修（間取り見直し＋評点1.0〜1.25）」で250万〜500万円が目安。まず「耐震診断（一般診断法/精密診断法）」で現況評点を把握し、壁量・壁配置・接合部・基礎・屋根重量の5要素を是正するのが基本。見積は「診断報告書・補強計画図（壁位置と倍率・金物種）・基礎補強範囲・屋根/外壁の軽量化・工程・写真・保証」を明記し、地元3社で同一計画の相見積が最短ルートです。

第1章｜大分市の耐震リフォーム“基本ルールと相場感”

費用相場（木造2階建・25〜35坪目安、税込）
- 耐震診断（一般/精密）：3万〜15万円（補助対象になる年度あり）
- 金物補強（ホールダウン・筋かいプレート等）：20万〜80万円
- 耐力壁の新設・増設（合板/面材工法）：40万〜160万円
- 基礎補強（ひび補修・エポキシ・増し打ち布基礎）：30万〜150万円
- 屋根軽量化（瓦→軽量金属/平板スレート）：90万〜220万円（足場別）
- 包括改修（壁・基礎・屋根外装含む）：250万〜500万円
大分市の地震・地域特性
- 令和6年能登の教訓とともに、九州は内陸活断層・海溝型双方の揺れに備えが必要
- 別府湾沿岸は軟弱地盤のポテンシャル、台風時の横風荷重も考慮して接合部強化が有効
目標性能（木造軸組）
- 既存不適格（評点0.3〜0.7）→ 部分補強
- 目安は上部構造評点1.0以上（倒壊しにくい）、可能なら1.25（より安全）

第2章｜補強メニューの選び方（弱点別アプローチ）

壁の量・配置の偏り是正
- 耐力壁をバランスよく配置（通し柱近辺・隅角部）、開口部の多い面の補強
- 面材（構造用合板t9〜12、高倍率パネル）で靭性と施工性を両立
接合部の強化
- ホールダウン金物で柱脚・柱頭を緊結、筋かいプレート・羽子板ボルトの追加
基礎の健全化
- ひび割れ補修（エポキシ低圧注入）、アンカーボルト増設、布基礎の増し打ち/耐震スラブ
屋根・外装の軽量化
- 瓦→SGL金属/軽量スレートで上部重量を低減し、必要壁量を軽減
開口部・腐朽対策
- 白蟻・腐朽の修復、土台・柱の継ぎ替え、窓の耐風圧・耐震ガラス化（合わせガラス）

第3章｜面積別の概算早見表（25〜40坪・在来木造）

延床25坪
- 部分補強：40万〜90万円
- 標準改修（評点1.0）：120万〜220万円
延床30坪
- 部分補強：50万〜110万円
- 標準改修（評点1.0〜1.25）：140万〜280万円
延床40坪
- 部分補強：70万〜150万円
- 標準〜包括改修：200万〜420万円
係数
- 3階建/複雑形状：+10〜25％、劣化（腐朽・不同沈下）あり：+15〜30％

第4章｜大分市の具体的な事例・実績

事例A｜大分市王子北町・築38年・在来木造30坪

施工：2024年10月
診断：上部構造評点0.55→補強計画で1.05
仕様：耐力面材パネル耐震壁×6カ所、ホールダウンM16×8箇所、基礎エポキシ注入＋アンカー増設
費用：総額198万円
効果：揺れ時の変形を抑制、開口集中側のねじれ改善

事例B｜大分市稙田・築30年・瓦→金属屋根＋金物補強

施工：2024年6月
仕様：屋根SGL立平葺きへ軽量化、棟木周りの金物追加、樹脂貫板化、耐力壁2カ所増設
費用：総額268万円（足場共用・外装一部改修含む）
効果：上部重量約-4〜5t、水平力時の応答低減、台風時の安心感向上

事例C｜大分市生石・築45年・基礎増し打ち＋間取り最適化

施工：2023年12月
仕様：布基礎外側増し打ち＋アンカー新設、土台一部取り替え、耐力壁配置再編（壁量充足＋偏心是正）
費用：総額352万円
効果：評点0.42→1.20に改善、床なり解消と断熱改修も同時実施

第5章｜専門家コメント

「耐震は“診断→計画→施工→記録”の順が鉄則。壁倍率やアンカー間隔は数値で管理し、写真と検査記録を残す会社が信頼できます。」
「大分は台風・塩害も絡むため、屋根・外装の固定力や金物の耐食性（SUS/溶融亜鉛めっき）にも目を配ると長期耐久性が上がります。」

第6章｜見積書の読み方（実務チェックリスト）

診断書の有無（評点、劣化度、壁量充足率、偏心率）
補強計画図（位置図・倍率・壁長、金物リスト、アンカー本数・ピッチ）
基礎補強の工法（エポキシ注入/増し打ち/アンカー打増し）と数量
屋根軽量化の材種・板厚・下葺材規格、外装の取り合い
解体・復旧（内装クロス・造作）範囲、仮住まい/養生計画
工程写真・中間検査・完了検査の提出
施工・材料保証（○年）と適用範囲
追加工事単価表（腐朽材発見時、基礎劣化範囲拡大時）

第7章｜スケジュールとベストシーズン

現地調査・診断：1〜2週間（採寸・開口調査・床下/小屋裏確認）
計画・見積・助成申請：2〜4週間
工期目安：
- 金物・耐力壁中心：5〜15日
- 基礎増し打ち含む：10〜25日（乾燥養生含む）
- 屋根軽量化同時：+3〜7日（足場共用）
ベストシーズン：3〜6月／10〜11月（乾燥安定、窓開け・養生しやすい）

第8章｜費用最適化と補助制度（2025年時点）

コスト最適化
- 外装（屋根・外壁）や内装復旧を同時計画し、足場・内装手間を一体化
- 壁量充足へ最短距離の壁配置に集約し、点在補強を避ける
- 効果の薄い過剰仕様は削り、基礎×壁×接合の“要点三点”に集中
補助・支援の例
- 大分市・大分県の木造住宅耐震診断/改修の補助（年度により診断無料/改修費の一部補助あり）
- 省エネ・バリアフリー同時改修の補助と併用可のケースあり
申請のコツ
- 多くは着工前申請、診断書・補強計画・見積内訳・施工前後写真が必要
- 最新情報は大分市役所建築指導課・住宅支援窓口／大分県公式サイトで確認

第9章｜よくある落とし穴と回避策

診断なしの“勘”補強
- 回避：評点算定と偏心チェックを行い、数値で壁配置を決定
局所補強で全体バランス悪化
- 回避：X・Y方向バランスと上下階の直下率を確保
金物だけで済ます
- 回避：壁・基礎・接合をセットで強化、屋根重量も見直す
腐朽・白蟻を見落とす
- 回避：床下・土台の事前点検と必要部の取り替え
工事記録が残らない
- 回避：工程写真・使用金物の開封写真・アンカー引張試験記録を提出してもらう

第10章｜FAQ

Q1. どの評点まで上げるべき？
- A. 最低1.0（倒壊しにくい）が目標。築年・立地・ご予算次第で1.25を推奨。
Q2. 住みながら工事できる？
- A. 金物・壁補強中心なら可能。基礎・大規模内装復旧を伴う場合は部分退避を調整。
Q3. 耐震と同時にやると良い工事は？
- A. 屋根軽量化、腐朽修繕、断熱（床壁天）、サッシ更新。足場や解体の共通化で効率化。
Q4. マンションでも耐震リフォームはある？
- A. 専有部では構造補強は不可。家具固定・間仕切りの耐力壁化は不可のため、防災備蓄やガラス飛散防止などで対策。

第11章｜今日やることチェックリスト

築年（新耐震1981年6月以降か、2000年基準以降か）を確認
図面（平面・立面）や過去の改修履歴を探す
小屋裏・床下の写真と、ひび・傾き・建具の建付け不良を記録
大分市の耐震診断補助の要件を確認し、認定事業者へ診断依頼
同一補強計画で3社に見積を依頼

第12章｜依頼先の選び方

確認したい資格・体制
- 建設業許可（建築工事業/大工工事業）
- 一級/二級建築士、構造設計一級建築士、建築施工管理技士
- 既存住宅状況調査技術者、木造耐震診断資格者
信頼のサイン
- 診断書と補強計画の提示、壁倍率・金物仕様の根拠
- 工程写真・検査記録の提出、完了後の評点再計算
- 1年・3年の定期点検と地震後の応急対応