【由布市耐震リフォーム】地震に備える補強工事と費用相場

2025年11月5日

【結論】

由布市の耐震リフォーム費用は、在来木造（延床25〜35坪）で「部分補強（壁・金物・基礎一部）」が40万〜120万円、「標準改修（上部構造評点0.7→1.0程度）」が120万〜280万円、「包括改修（評点1.0〜1.25・間取り見直し含む）」で250万〜500万円が目安。まずは耐震診断（一般/精密）で現況評点と弱点を特定し、「耐力壁の量・配置×接合部金物×基礎・屋根重量」の三点を数値で是正。由布市は盆地/山間特有の地盤ばらつき・寒暖差（木部含水）も踏まえ、壁の直下率・偏心率、金物の耐食性、屋根の軽量化をセットで検討。見積は「診断書・補強計画図（壁倍率/金物リスト）・基礎補強範囲・屋根外装の扱い・工程写真・保証」を明記し、同一計画で地元3社の相見積が最短ルートです。

第1章｜由布市の耐震リフォーム“基本ルールと相場感”

費用相場（木造2階建25〜35坪・税込）
- 耐震診断（一般/精密）：3万〜15万円（補助対象の年度あり）
- 金物補強（ホールダウン・筋かいプレート・羽子板等）：20万〜80万円
- 耐力壁新設/増設（構造用合板/高倍率パネル）：40万〜160万円
- 基礎補強（ひび補修・エポキシ注入・増し打ち）：30万〜150万円
- 屋根軽量化（瓦→金属・平板スレート）：90万〜220万円（足場別）
- 包括改修（壁・基礎・屋根/外装含む）：250万〜500万円
由布市の地域特性（参考）
- 盆地/山間で地盤種が混在（盛土・扇状地・粘性土）。家ごとに固有周期が異なり「偏心」は倒壊要因に
- 冬季の含水・結露で木部劣化が進む家も。金物は耐食仕様、基礎・土台の含水点検が有効
目標性能
- 上部構造評点1.0以上（倒壊しにくい）を基本、将来改修減らすなら1.25を推奨

第2章｜補強メニューの選び方（弱点別アプローチ）

壁の量・配置バランス
- 南面開口が大きい/偏心が大の家は、高倍率面材で隅角部・直下率を確保（1階→2階の位置合わせ）
接合部の強化
- 通し柱・端部柱にホールダウンM12/M16、梁-柱は羽子板ボルト、筋かい端部は座金セット
基礎の健全化
- ひびはUカット＋エポキシ低圧注入、アンカー打ち増し、耐震スラブ・布基礎増し打ち
屋根・外装の軽量化
- 瓦→SGL立平/横葺きで上部重量-4〜6t、必要壁量を低減し効果的
間取り/開口の是正
- ピロティ・大開口は耐力壁/フレーム補強、ファサード連続窓はピンポイント耐力壁で偏心を減らす

第3章｜面積別の概算早見表（在来木造・25〜40坪）

25坪
- 部分補強：40万〜90万円
- 標準改修（評点1.0）：120万〜220万円
30坪
- 部分補強：50万〜110万円
- 標準改修（評点1.0〜1.25）：140万〜280万円
40坪
- 部分補強：70万〜150万円
- 標準〜包括改修：200万〜420万円
係数
- 3階建/複雑形状：+10〜25％、劣化（腐朽・不同沈下）：+15〜30％、屋根軽量化同時：+90万〜220万円

第4章｜由布市の具体的な事例・実績

事例A｜由布市挾間・築38年・在来木造30坪

施工：2024年10月
診断：上部構造評点0.55→補強計画で1.05
仕様：耐力面材パネル×6カ所、ホールダウンM16×8、基礎エポキシ注入＋アンカー増設、屋根は既存
費用：198万円
効果：ねじれ変形を抑制、開口側の偏心を改善

事例B｜由布市湯布院町・築30年・瓦→金属屋根＋金物

施工：2024年6月
仕様：SGL立平葺きへ軽量化、棟木周りの金物補強、樹脂貫板化、耐力壁2カ所増設
費用：268万円（足場共用・外装一部含む）
効果：重量-5t級で応答低減、台風時の安心感も向上

事例C｜由布市庄内・築45年・基礎増し打ち＋間取り最適化

施工：2023年12月
仕様：布基礎外側増し打ち＋アンカー新設、土台一部取替え、耐力壁配置再編（壁量充足＋偏心是正）
費用：352万円
効果：評点0.42→1.20、床鳴り・建付け改善、断熱改修も同時に

第5章｜専門家コメント

「耐震は“診断→計画→施工→記録”が鉄則。壁倍率・金物ピッチ・アンカー間隔は数値で管理し、工程写真と検査記録を残す会社が信頼できます。」
「由布は寒暖差・湿気も絡むため、金物の耐食性（SUS/溶融亜鉛めっき）・屋根軽量化・通気の確保に配慮すると長期の健全性が高まります。」

第6章｜見積書の読み方（実務チェックリスト）

耐震診断報告（評点・壁量・直下率・偏心率・劣化度）
補強計画図（耐力壁位置/倍率/壁長、金物一覧、アンカー本数・ピッチ）
基礎補強（工法別数量：注入m、増し打ちm、アンカー本数）
屋根軽量化の仕様（材種・板厚・下葺材）と外装取り合い
解体・復旧範囲（内装・造作）、仮住まい/養生の計画
工程写真・中間/完了検査の提出、評点再計算（事後評価）
施工保証（○年）・材料保証と対象範囲、追加単価表（腐朽拡大時）

第7章｜スケジュールとベストシーズン

現地調査・診断：1〜2週間（採寸・床下/小屋裏・劣化確認）
計画・見積・助成申請：2〜4週間
工期目安
- 金物・壁補強中心：5〜15日
- 基礎増し打ち含む：10〜25日（乾燥養生込み）
- 屋根軽量化同時：+3〜7日（足場共用）
ベスト：3〜6月／10〜11月（乾燥安定・窓開けやすい）

第8章｜費用最適化と補助制度（2025年時点の例）

コスト最適化
- 外装（屋根・外壁）や内装復旧を同時計画し足場・仕上げを一体化
- 壁量充足へ“点在補強”より“戦略配置”で効率化（直下率/偏心率の改善を優先）
- 効果が薄い補強は削り、基礎×壁×接合×屋根の四点に集中
補助・支援
- 大分県/由布市：木造住宅耐震診断・改修補助（年度・要件で上乗せあり）
- 省エネ・バリアフリー同時改修の補助と併用可の年度あり
申請のコツ
- 多くは着工前申請。診断書・補強計画・見積内訳・施工前後写真・検査記録が必要
- 最新情報は由布市役所建築指導課／住宅支援窓口・大分県公式で確認

第9章｜よくある落とし穴と回避策

診断なしの“勘補強”
- 回避：評点算定・偏心チェックを実施し数値で壁配置を決定
局所補強で全体バランス悪化
- 回避：X/Y方向のバランスと上下階直下率を重視
金物のみで終える
- 回避：壁・基礎・接合・屋根軽量化をセットで（最弱部が全体性能を規定）
腐朽・白蟻を見落とす
- 回避：床下/土台の事前点検、必要部の取り替え・防蟻
施工記録が残らない
- 回避：工程写真（開封・取付・ピッチ・注入）と検査記録を契約条項化

第10章｜FAQ

Q1. どの評点まで上げれば安心？
- A. 最低1.0（倒壊しにくい）を目標に、余力があれば1.25で余震や長期に備えるのが理想。
Q2. 住みながら工事できる？
- A. 金物・壁補強中心は可能。基礎増し打ちや大規模復旧は部分退避・仮住まいを併用。
Q3. 屋根軽量化は必須？
- A. 瓦屋根で壁量が不足する家は効果大。耐震＋耐風・耐雪・雨仕舞の副次効果も。
Q4. RCや重量鉄骨も対象？
- A. 工法が異なるため専門設計が必要。木造とは費用・手順が変わる（構造診断へ）。
Q5. 隣接空き家・擁壁の影響は？
- A. 地盤・擁壁状況の確認は有効。必要に応じて地盤改良や排水の見直しを。

第11章｜今日やることチェックリスト

築年（1981新耐震/2000品確改正以降か）・図面・過去改修履歴を用意
小屋裏/床下の写真、ひび・傾き・建具不具合を記録
由布市の耐震診断補助要件を確認し、認定事業者へ診断依頼
同一補強計画で3社に見積依頼（数量・金物種・壁倍率を固定）
工程写真・検査記録・保証書の雛形を契約前に確認

第12章｜依頼先の選び方

確認したい登録・資格
- 建設業許可（建築/大工/とび・土工）、一級/二級建築士、構造設計一級建築士、建築施工管理技士、既存住宅状況調査技術者
信頼のサイン
- 診断→計画→施工→記録まで一貫体制、壁倍率・金物の根拠提示
- 工程写真・検査記録の提出、完了後の評点再計算
- 1年・3年の定期点検、地震後の臨時点検体制